山佐の『ニューパルサー』など、4号機は大量リーチ目を主流とした機種が流行した1995年、満を持して『クランキーコンドル』が登場。登場直後こそ、前述した『ニューパルサー』に水をあけられていたが、導入から数ヶ月後に通常時およびBIG中に散りばめられた「技術介入要素」が発覚するや否や、人気がうなぎ登りとなる。
「設定1でも機械割100%超」という魅力が世に広まり、「プレイヤーの技術次第で勝てる台」という、まさに回胴「遊技」機とは何かを知らしめる台に。これがきっかけとなり4号機は一気にホールへ広まっていく。ちなみに、4号機第一弾の『チェリーバー』でも技術介入の代名詞である「リプレイハズシ」は存在したが、当時はまだ3号機が現役で出玉力もこちらが上だったため、広く技術介入が認知されたのはこの『クランキーコンドル』からである。
本機が秀逸だったのは、技術介入要素だけに留まらず、技術介入をしていく中で得られていく出目や出玉への快感が一層人気に拍車を掛けた。なかでもリーチ目についてはあまりにも有名で言うのもはばかられるが、あえて紹介すると、パチスロ史上最も有名なリーチ目と言っても過言ではない順押し青7狙い時2リール確定目・青7上段テンパイ「青テン」、小役狙い時に思わずうなるハサミ打ちコンドル狙い時2リール確定目・コンドル上段→右リール枠上赤7などの「ズレ目」、各リールの中段にリプレイ・リプレイ・スイカが止まればリーチ目となる「リリス」、同じく中段に左&中リールでスイカがテンパイすると「小役ハズレ目」になるなど、リールを一つ止めるだけでプレイヤーがリーチ目かどうかを自分の記憶と経験を頼りに推測する楽しみも魅力の一つだった。
もちろん、BIG中の技術介入も特筆すべき点で、打ち方はここでは割愛するが、適当に打った場合と、フル攻略をした場合の効果の差は40〜50枚にも及ぶと言われ、当時、必死の形相でリールと睨めっこしていたプレイヤーも少なくない。目押しの秀でた者はそのシマで優越感に浸れると共に出玉も他人と差を付け、目押しの苦手な者はそれを見て一心に目押しを練習するなど、プレイヤーが思い思いに本機と向き合っていた事だろう。
その後しばらくの間、「通常時の小役狙い」および「BIG中のリプレイハズシ」は多くのマシンに搭載され、パチスロの魅力を引き出す上で欠かせない要素となった。「目押しによって出玉を増やす」という今では当たり前の行為も、メーカーがこうした趣向を凝らした機種を輩出した結果、それが後のパチスロシーンに大きな影響を与えているのは一目瞭然であろう。当時では考えられなかった「技術介入要素」というアイデア。今もなおプレイヤーと共に進化を続けているパチスロ業界であれば、今後も新しい「遊技」が誕生するに違いない。いちプレイヤーとして、その日をワクワクしながら待ちたいところだ。(編集S)